副代表
森岡 一朗
日本大学医学部 小児科学系 小児科学分野
早産児神経発達学会(旧:超早産児神経発達症研究会)は、早産児の脳機能の理解や臨床像の解明、フォローアップ体制の構築、家族支援を目的として2017年10月に発足し、2025年6月に学会として新たな歩みを開始しました。医療の進歩により早産児の生存率は向上しましたが、自閉スペクトラム症や注意欠如多動症など目立たない早産児特有の神経発達症が新たな臨床課題となっています。本学会では、これらを含んだ早産児の神経発達の病態解明、科学的根拠に基づく実践と家族支援を推進しています。みなさまのご支援ご協力をよろしくお願いします。


荒井 洋
社会医療法人大道会ボバース記念病院
脳性麻痺児・者に早産児が占める割合は高く、その診療の中で脳損傷に基づく運動障がいのみならず早産に起因する様々な発達上の問題に直面しています。早産児の神経発達の特徴とその病理学的背景および環境による影響を知ることは、早期介入・早期療育を通じて早産児全体の望ましい発達と将来のQOLの向上を支援するために欠かせません。運動発達・運動障がいを専門とする立場から力を尽くしたいと思います。

伊藤 祐史
名古屋大学医学部附属病院小児科
私は臨床医として、急性期病院や療育施設、および大学病院にて小児神経疾患の診療を行ってきました。また、脳画像解析や脳波判読、および運動面や認知面の機能評価に関する臨床研究にも取り組んできました。今後は本学会の理事として、本邦における早産児の神経発達に関する臨床や研究の発展、及び支援体制のさらなる充実に向けて、学会員の皆様や患者さん及びそのご家族とともに、精力的に取り組んでいければと考えております。

井上 健
国立精神・神経医療研究センター
精神神経疾患の遺伝学を専門とし、主に大脳白質形成不全についての基礎〜トランスレーショナルな研究を行っています。胎生期の脳障害がどのように超早産児神経発達症を引き起こすのか、まだまだ未解明ですので、基礎医学的な観点から本学会の活動に寄与したいと考えています。

岩永 竜一郎
長崎大学生命医科学域
私は作業療法士として、自閉スペクトラム症、注意欠如多動症、発達性協調運動症、脳性麻痺など多様な障害をもつ子どもたちに関わってきました。その中には早産児も多く含まれており、早期からの作業療法や親子への支援の重要性を強く感じてきました。本学会の活動を通じて、早産児のより良い将来づくりに貢献したいと願っています。

岡橋 彩
日本大学医学部小児科学系小児科学分野
新生児集中治療室(NICU)は成人の最重症患者を扱う3次救命センターと同じように、高度な治療を行う場所です。生まれて間もない時期に集中治療を受けた早産のお子さんたちが、どのように発達発育していくのか、治療後の成長を私たち新生児科主治医が責任をもって家族を支えていきたいと思います。本学会では様々な専門家一丸となり、早産児のよりよい神経発達への道しるべとなる有用な情報を探求したいと思います。

春日 義史
慶應義塾大学医学部産婦人科
産科医としては早産予防法を確立する必要があるわけだが、この難題を解決するにはもう少し時間がかかりそうである。そのため、早産になってしまった場合にもできるだけ発達に影響を及ぼさないような胎内環境の管理などを我々が検討する必要があるのではないかと考えている。何ができるのかわからないことが多いが、微力ながら次世代の将来を守るために尽力していきたい。

城所 博之
名古屋大学医学部附属病院小児科
私が早産児の脳の病気に関心を持つようになったのは、研修医の頃に多くのPVL(脳室周囲白質軟化症)の赤ちゃんを診てきた経験がきっかけです。その後、脳波やMRIを使った研究に取り組み、近年では機能的NIRSという新しい方法も取り入れながら、新生児の脳の発達やその変容について研究を続けています。

小谷 友美
浜松医科大学 産婦人科講座
早産の原因となる絨毛膜羊膜炎や妊娠高血圧腎症のしくみを探り、子宮内環境が児の発達に与える影響を研究してきました。産科医として予防と治療の両面から子宮内環境の改善に取り組み、本学会では多職種の皆さまとともに、早産児の長期的健康に資する知見の確立を進めてまいります。

佐藤 義朗
名古屋大学医学部附属病院 総合周産期母子医療センター新生児部門
超低出生体重児の生命予後は大きく改善し、重度の障害を残す児は減少しましたが、一見問題がなく見えても、成長の過程で神経学的な困難を抱える児は今も多くいます。新生児科医として、NICUで何ができるか、退院後にどのような支援や介入が必要かを考えることは、私たちの重要な使命です。本学会の活動を通じて多職種の仲間と議論を深め、子どもたちのよりよい未来につなげていけるよう努めてまいります。
柴崎 淳
地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター 新生児科

杉山 裕一朗
日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院 小児保健科
新生児科医です。臨床現場ではお子さんの急性期の診療と退院後の外来フォローアップを行っています。早産のお子さんはNICUを退院して終わりではありません。成長、発達や集団生活への適応などに様々なタイミングで様々なサポートが必要なお子さんが多いことが知られています。NICUからできる介入や問題の早期発見まで、早産であることが将来の問題にならないことを目指してお子さんの将来のためお手伝い出来たら幸いです。

竹内 章人
国立病院機構岡山医療センター新生児科・小児神経内科
新生児医療と小児神経医療の両分野の現場で診療を続けながら、NICUを卒業したお子さんの成長・発達に寄り添い、より良い新生児フォローアップの在り方を模索しています。新生児科医として急性期治療の質向上に取り組むのはもちろん、さまざまな発達特性をもつお子さんたちが安心して暮らせる学校や社会を目指し、地域の多様な立場の方々と協働しながら活動しています。

辻 雅弘
京都女子大学 食物栄養学科
早産低出生体重児が神経発達障害(注意欠如多動性障害(ADHD)や自閉症スペクトラム障害など)を来しやすいということに興味を持ち、モデル動物や臨床データを用いた研究を行っています。食事や栄養素が神経発達障害に及ぼす影響の解析や、栄養素や幹細胞を用いた予防法開発に、学生と共に取り組んでいます。

福井 美保
大阪大谷大学 教育学部 教育学科 大阪医科薬科大学 小児高次脳機能研究所・LDセンター
新生児医療の現場で、早産児の命の力強さに心を動かされ、「その後の人生を支えたい」との思いから小児神経学を専門に診療してきました。現在は、学童期の神経発達と学習支援に取り組み、早産で生まれた子ども達の可能性を広げる研究を続けています。早産児神経発達学会の設立を機に、子ども達が未来に希望を持てる社会の実現に向けて、皆様と共に歩んでいきたいと思います。
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松﨑 敦子
三育学院大学看護学部 ステップライフ合同会社
これまで、応用行動分析学に基づく早期発達支援の研究に取り組み、神経発達症のある子どもやその保護者・支援者への支援を行ってまいりました。近年、出口代表理事をはじめとする早産児医療に携わる皆様のご活動に触れる中で、自分もこの分野の発達支援の一助になりたいという思いが芽生えました。今後は、早産児の神経発達特性に注目し、エビデンスに基づく具体的な関わりを通して、より良い発達環境づくりに貢献してまいります。