※当法人の活動をより多くの方に知っていただくため、会員数の状況を踏まえ、当面の間、本ブログは一般公開としております。
早産児神経発達学会の理事で国立精神・神経医療研究センター神経研究所の井上 健です。
私は脳の遺伝性疾患の原因解明や治療法開発を目指した研究をおこなう傍ら、精神科医として子供から大人、そして高齢者まで幅広く臨床の場面で、患者さんとご家族のこころの悩みをお伺いして参りました。ことお子さんに関しては、妻で本学会理事長の出口貴美子が院長を務めるキッズ&ファミリークリニック出口小児科医院にて、神経発達症のお子さんやその保護者の方々の対応をさせていただいております。
多かれ少なかれ発達特性を持つ人は、大人も子供もたくさんおられます。
この特性には、自閉スペクトラム障害や注意欠如多動性障害などがよく知られていますが、他にも学習障害や発達性協調運動障害が含まれます。多くの方がこれらを様々な割合で併せ持っておりますので、生活や学習などどのような場面でどういった困りごとが生ずるかは、人それぞれで異なります。
したがって私たちは、それぞれのお子さん(あるいは成人でも)がどういった場面でどのように困っているのか、よくよく耳を傾ける必要があります。そしてこういった特性は、元々産まれながらに持ち合わせているものですので、後から簡単に変化させることは難しいですが、個々の困りごとに対して、どのようにそれを乗り越えていけるかは、一緒に考えていくことができます。
それが小児科や精神科での診療の本質であり、適切な心理療法や言語、作業、理学療法などがお子さんの大きな力の源となるのです。そして大事なことは、これらの特性は、そのお子さんの困りごととなるだけではなく、逆に長所となり、個性として光るものでもあることを理解し、伝えてあげることです。
個々の発達特性は、それぞれの脳の中にある神経細胞やグリア細胞を形作る設計図であるDNAに書き込まれているものであり、これがその設計図通りに作られた脳の特性として現れているものですが、それだけではなく、脳が作られる過程で外の世界、つまり環境から受ける影響も大きいことが知られています。
その中でとくに私たちが注目しているのが、早産が脳の発達に及ぼす影響です。その特徴を理解し、どのように手を差し伸べることが、早産でこの世に生を受けた一人一人の子供たちの助けになるのか、これを考えていくために、私たちが知っておくべき知識や技術を体得することが、わたしたちの学会のミッションの1つだと考えています。
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